早急に21世紀型の曹洞宗を

  21世紀の仏教を考える会代表
  (有)仏教企画
  代表取締役 藤木 隆宣


 多々良学園問題から発生した宗門の問題点を探るために、多くの方々に電話をかけさせていただきました。
 全体の印象としては、宗門の金銭感覚を含めて、問題の奥深さにびっくりし、あきれかえっているご寺院が実に多いということです。「どうしようもないなあ」という声です。では、どうしてこのようなことになってしまったのでしょうか。
 私たち寺院は、宗務庁の動きに対しては一線を画して、とりあえず宗費は義務として納めるが、一寺院としては一箇半箇の精神で檀信徒に接して、お寺を守るからと宗政に対して無関心できたつけが、今回、大きな形で出てきたのではないでしょうか。もちろん無関心になるべき理由も多々あったと思います。
 創価学会は発足当時は檀信徒という決められた組織はなかったので、都市部を中心にして組織的な布教活動を行い、今では日本最大の宗教団体になりました。
 ある時、仏教雑誌の責任者と話しをしましたが、既成仏教寺院のつながりは点と点であるが、創価学会は面と面なので、組織が崩れないと言っておられました。私たち曹洞宗の組織を見たときも、残念ながら点と点の集まりにすぎないと思います。組織としては大変脆いということになります。一見、一万五千カ寺の寺院を有しと言いますが、その中身を見たときに、熱心なご住職方は宗祖の精神に基づいて、檀信徒の教化をされておられることも知っているつもりですが、全体で見たときには、曹洞宗はそれを支える梁がない組織だと思います。
 曹洞宗は今や在家教団で、世襲で寺が受け継がれています。しかし、それを支える教学(現代教学)がありませんので、住職、寺族、弟子の一族がどのような姿勢で寺院運営(教化活動も含めて)に望んでいいのか、私を含めてわからなくなっているのではないでしょうか。ご先祖を祀り供養するお寺から、社会をリードできるお寺にするためには、今の曹洞宗の施策ではまったく対応できておりません。
 一カ寺一カ寺がしっかりしておれば大丈夫と思っておられるご寺院も多いと思います。今しばらくは大丈夫だと思いますが、世代交代や少子化がさらに進み、檀信徒の意識が変化してきますと、今までのように我寺という考え方が薄れて来ますので、多くの檀信徒がおられるご寺院でも安閑とはしておられないのではないかと思います。
 一九九八年から二〇〇五年までに予算化された二、九三四、〇〇〇、〇〇〇円の建築補助費が、曹洞宗全体の教化や寺族の福祉資金などに使われたらと思うのは、私一人ではないと思います。
 では、どうしたらよいでしょうか。まず21世紀型の曹洞宗に早く生まれ変わらせたいものです。良識ある議員諸老師方にも、今の現状をよく認識していただき、特権意識で曹洞宗を運営するのではなく、曹洞宗の活性化につながることは、会派意識をなくして取り組んでいただきたい。会派単位で考える時代はもう終わりました。活性化の第一歩は現選挙制度の改革です。現選挙制度を支持する人はほとんどおりません。今は会派意識よりも曹洞宗をどうするかが大問題です。優秀な人材を送り込みやすい選挙制度や、管区単位で国の参議院のような人材を宗政に送れるシステムも必要かと考えます(寺族、檀信徒などからも送り込める)。選挙制度の改革は現議員の皆さまにお願いしたいことですが、無理であれば、九月の改選後に実行していただきたい。
 全国のご寺院を無関心派に持っていかないように教区、宗務所単位で、盛んに曹洞宗を論ずる雰囲気を是非作りたいものです。宗議の方々はわかりやすく宗政を説いていただきたいものです。無関心は重大な責任回避です。今は、寺院→教区→宗務所→宗務庁のパイプが詰まって風通しが悪いと思うのですが、今後はその詰まりを取り除く努力も大切かと思います。また、今後は若い方々が動きやすい体制作りも必要かと思います。ご本山などからご自坊に戻ったときに動ける場(組織)がないというのも、大教団としては恥ずかしく、活性化につながらない原因でもあります。
 特に、曹洞宗の決議機関である宗議会では、宗会無用論を引き出させない有益な議論をお願いし、21世紀の曹洞宗の構造改革を早急に組み立てていただきたいものです。
 多々良事件を契機に、曹洞宗の改革をすすめる大小いろいろな会があるようです。曹洞宗の未来のためには、大いに議論を深めるべきだと思います。私も「仏教企画通信」を通じて、今後も継続して運動を展開いたしたく思いますので、投稿などよろしくお願い申し上げます。