朗読から心の力を養う

「どろんこ どろんこ!」
わたなべ しげお
しゃべるを もって すなばへ いって、
ばけつも いるんだ、
すくって すくって もりあげて、
おやまが できた。
どっこいしょ!
こんどは あなほり。
ほって ほって また ほって、
おおあなだぁ!
よいしょ よいしょ!
おいけが できた。
どろんこ どろんこ!
ああ おもしろかった。
出典「どろんこ どろんこ!」 渡辺茂男文/大友康夫絵 福音館書店刊(一九八三)
解説 小倉 玄照(成興寺住職) 加茂保育園園長・岡山県津山市
全体で二四ページの絵本。文章は、この十二行ですべてです。見開き二頁に大きな字で一行ずつ。そしてそこには、どろんこ遊びをする熊の子がそれぞれに大きく描かれています。
まず、大きな声で、ゆっくりと、一歳半から三歳の子どもになった気分で朗読してみましょう。次に、熊の子がどんな格好で遊んでいるか、それがどんなふうに見開き二頁に描かれているかをイメージしつつ、一行ずつ、大きな声でゆっくり読んでみましょう。
そして、もう一度、小さな子どもに語りきかせるように大きな声で読み、さらに何度かくり返し読んでいる間に、いつの間にか童心に返っていることに気づくはずです。
大人は、いつも自分が子どもであったことを忘れています。子どもは、未熟な存在だと思い込んでいます。そのくせ、子どもほど純な気持ちで今の仕事に打ち込めません。子ども時代に田んぼや畑で、あるいは砂場で、どろんこになって遊んだ記憶が残っていれば、幸せな人です。
土は、カタルシス効果があると言われています。心の中のしこりを土が吸収してくれるのです。
朗読で子どもの気分が少しでも萌したら、さあ、今度は外に出て思いきって土にふれてみましょう。畑があれば最高。なければプランターでもよし。手袋なんかつけないで、両手をどろんこにして、球根を植えたり、種子をまいたり。
あなたの今の悩みは、すっかり消えてしまっているのを発見するでしょう。
「どろんこ どろんこ!
渡辺茂雄・文 大友康夫・絵
福音館書店 刊
定価:本体743円(税別)