子どもたちの心のケアを スマトラ沖地震の現場から

 シャンティ国際ボランティア会(SVA)は、昨年十二月二十六日のスマトラ沖大地震で津波被害をうけたタイ南部で、図書館活動をつうじた子どもたちの「心のケア」にとりくんでいる。災害直後の緊急救援としての物資配布や避難所設置から現在は復興支援へと、現地のニーズは大きく変わってきた。

●緊急支援から復興支援へ

 津波発生から三日後に現地入りしたSVAタイ事務所のスタッフは、被害の大きさに言葉を失った。最初に訪れたパンガー県のナムケム村は一万一千人いた村人のうち三千人が亡くなった。村のほぼ八〇%が砂や泥に覆われ、電信柱が倒れ、船や車、家財道具の残骸が散らばっており亡くなった方の遺体も埋まったままの状態であった。
 SVAはすぐさま三百家族に対し飲料水、食料などの救援物資を配布し、避難所には大型テントや給水タンク、浄水器を設置した。同時に、新学期をむかえた一千五百人の子どもたちには制服や学用品を支援。さらに、復興期にはいった一月中旬からは被災地での図書館活動を開始し、「子どもたちの心のケア」をおこなっている。

●「津波のとき以来、子どもたちのこんなに楽しそうな姿を初めて見ました」

 現在SVAは図書館の設置と三十カ所の学校や避難所をまわる移動図書館活動をおこなっている。図書館には毎日たくさんの子どもたちがやってきて、お話の読み聞かせや読書やゲーム、踊りなどを自由に楽しんでいる。そんな子どもたちを見て地元小学校の先生は「津波のとき以来、私は子どもたちのこんなに楽しそうな姿を初めて見ました」と話してくれた。
 津波で家族や友だちを亡くした子もいれば、避難所で暮らす子ども、ふだん学校に行けない出稼ぎに来ているビルマ人の子どもたちもいて、図書館ではみんなあの災害を忘れたかのように元気に遊んでいる。
 移動図書館車で巡回するのは、タイ事務所の図書館スタッフ。SVAのスタッフはバンコクからだけではなく、タイ北部やラオスで活動する事務所からも被災地の子どもを勇気づけるために駆けつけている。

●傷ついた子どもたちによりそって

 親、兄弟、友だちを亡くした子どもたちの悲しみはとても大きい。それに加えて今回の被災地はもともと経済的に貧しい地域だけに、観光や漁業が大きな打撃をうけたことがさらに追い打ちをかけた。失業した親にとっても、今後の生活への不安が重くのしかかっている。精神的なショックに加えて、「村に帰るのが怖い」と口にする人も多くいる。
 今後も中長期的な支援が必要とされるなか、SVAは二〇〇五年末までタイ南部での図書館活動を継続することを決めた。被災した子どもたちのそばにいて勇気づける支援は続く。

((社)シャンティ国際ボランティア会 広報課 村田 泉)


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■シャンティ国際ボランティア会とは
「シャンティ」は「平和」「寂静」を意味するサンスクリット語。1980年にタイの難民キャンプからスタート。現在タイ、ラオス、カンボジア、アフガニスタンに事務所をおき、子どもの教育支援、文化支援活動に取り組む。また1995年の阪神大震災で活動した経験を活かして、国内外でおきた災害の救急救援、復興支援にも取り組む。1999年に社団法人となり「曹洞宗国際ボランティア会」から改名。