編集後記
米マサチューセッツ工科大学メディアラボ所長・伊藤穣一氏が「創発民主主義」というものを唱えておられます。(2011年9月三日付け、朝日新聞)
それによると、「従来の代表民主主義では国民が政治家を選挙し、彼らに政策決定を委ねているが、ITの発達などによって、人々が自分で判断し、発信できるようになれば、草の根から、現場から、新しい直接民主主義に近い政治的な秩序が生まれてくるようになる。それが創発民主主義だ」と述べています。
わたしはこの考え方に着目しています。今の国政の停滞もさることながら、遅々として進まない曹洞宗の宗門改革の現状を視るにつけ、現場の声を活かしていくことがいかに大事かわかります。
3月11日の「東日本大震災」以来、現地のご寺院がたは、必死になって被災者支援に取り組んでこられました。それこそ創発的で自発的な活動が広がっていったのです。それに対して、宗門当局が、的確で具体的な支援策を示すことができたか疑問ですし、合意形成の手順が極端に遅い体質が気になります。
今や、宗門当局の意向や指示を待って行動するような時代ではありませんし、意思決定の場を分散して現場がもっと自由に動ける制度作りが必要になります。そのために、従来の選挙制度なども含めた宗政の抜本的な改革が必要です。
この点についてご寺院各位のご意見を手紙・メールなどでお送りいただきたいと思います。「仏教企画通信」では時代に即応した宗門リフォームのために、各地で座談会を開きたいと考えています。どうぞ忌憚のないご意見をお寄せください。
合掌