曹洞宗の組織は崩壊しないか

千葉県長寿院住職 篠原鋭一


 組織は組んで織ると書く。組むこと織ることが緩い組織は弱い。強くなくては続かない。切れる破れる崩壊する。
 伝統教団以外の宗教団体が、再び組織を強化して活動し始めた。「幸福の科学」は、子どもまで動員して駅頭でメッセージを配布し続けている。 「自殺すると、数十年間、地上を霊としてさまよう」などと書かれたチラシを、「おじさんこれ読んで下さい」と手渡された。
 元オーム真理教・アレフは、今年もすでに千人以上の若者を入信させ、五月の連休にはセミナーで数千万円の布施を手にしている。
 創価学会主催による「SGI・創価学会インターナショナル」の機関誌「グラフSGI」3月号の特集は、全ページに渡って池田大作SGI会長が受賞した一七〇の「栄誉」の詳細である。
 オールカラー。世界中の国・都市・大学・人権平和活動グループから、名誉博士や名誉教授の称号が贈られており、いずれも「池田氏は仏教者の視点から平和に貢献する、国際的な人道主義者であり、世界の文化界にとって重要な人物です」と誉め称えている。
 中国の大学からの受賞が多い。 「池田先生に名誉教授の称号を授与できるのは光栄です」北京大学丁石孫学長。 「池田先生は、創価学会だけのまた日本だけの存在ではありません。全世界の先生です。全世界の共通の思想的な財産です」蘇州大学朱副学長……。
 私は幾度か、インドニューデリーにある「ガンディー記念館」を訪ねたが、いつも人権と平和をテーマにしている展示室へ伺った。
 そこには、故マハトマ・ガンディー首相、故アーサー・キング牧師、そして池田大作氏の巨大な肖像写真が展示されているが、解説文を見ると「今や、世界の人権と平和を守るリーダーは、偉大なる日本の人道主義者池田大作氏であり、彼の他にはいない」と英文で記されている。
 池田SGI会長ノーベル平和賞受賞の戦略戦術は着々と進んでいると聞いた。
 次の資料は、二〇〇四年に曹洞宗総合研究センターが「葬祭に関するアンケート調査報告書」で発表したものである。よく見つめて頂きたい。

檀信徒の構成(複数回答可)
〈5―イ 檀信徒構成(MA)〉

檀徒と信徒 674 60・1%
檀徒のみ       353 31・5%
信徒のみ 15 1・3%
他宗教檀信徒がいる 569 50・7%
他宗派と重複 107 9・5%
わからない 0・0%
その他 0・5%
無回答 0・8%
合 計 1122 100・0%

他宗教を信仰している檀信徒
〈5―ロ 他宗教(MA)〉

創価学会 266 23・7%
立正佼正会 497 44・3%
霊友会 247 22・0%
他の仏教系新宗教 137 12・2%
教派神道系 127 11・3%
諸ヘ系 160 14・3%
キリスト教系 67 6・0%
既成仏教系 95 8・5%
その他 43 3・8%
無回答 271 24・2%
合 計 1122 100・0%


 現曹洞宗檀信徒構成の実態、「他宗教檀信徒がいる」「他宗派と重複」を合計すると六十パーセントを超える。まさに檀信徒離れ・転宗が進んでいる証である。伝統仏教教団の組織はこのままでいいのか。わが曹洞宗の組織は崩壊しないか。
 時は待ってくれない。社会は動いている。城は中から崩れると言われる。最近、週刊文春で報道されたスキャンダル記事は、このことを暗示しているのだろうか……。いや、情報社会においては外からの要因、とりわけ世論によって崩壊することもあり得る。宗門を崩壊させてはならない。すべては宗侶の良識にかかっている。