編集後記

 東大大学院、立教大大学院で哲学を教えておられた内山節先生のお誘いで5月6日から8日まで韓国を訪れた。8日は韓国では「花祭り」の行事があり、釈尊の誕生を祝う提灯があちこちで飾られていた。
 目的はタボック共同体支援センター(韓国のマウル〈共同体〉作りを支援する中間支援組織)国際交流協力事業の「第一回日韓国際シンポジウム 持続可能なコミュニティー作り人、文化、経済」に参加するためだった。
 開催場所は韓流スターを多く輩出しているハンヤン大学(漢陽大学安山キャンパス)で開催され、内山先生や神戸大学大学院教授の藤野一夫氏の基調講演があり、日本での地域作りや地元のソウル市立大学・ハンヤン大学などの取り組みが紹介され、約5時間のシンポジウムであった。
 翌日はフイールドワークを兼ねてスウヲン市(ソウルの近郊都市)のコミュニティー作りの現場を訪れ、地域住民や専門家集団(テドンゲ)との熱い対話に触れて目から鱗の活動ぶりと問題意識の旺盛さに圧倒された。その中にあって、韓国の中では活動すればするほど行政とのはざまでの困難さもあるようだった。
 日本でも、特に3・11以後、行政と住民との間をつなぐ役目としてのNPO法人などの活躍には目覚ましいものがある。第三者の視点が大切になっているともいえる。これらのことはこれからの寺院運営には欠かせないことだと思っている。
 私は相模原市の緑区に小庵を建てたく10年ほど前から計画をし、昨年10月に市の開発調整課に開発申請を出した。市からの指導で建てる場所から10メートル範囲にお住いの方々への説明義務があり、設計者と該当する12軒に説明に回ったところ住民の猛反対にあった。それから6カ月間住民に説明すること5回、様々な質問があり、中には非常に失礼な質問もあったが丁寧に答え、5回目の説明会が行われた4月17日には質問も堂々巡りをしてきたので、6か月間にお聞きした案件を真摯に実行することを約束して話し合いを終わった。
 反対理由は住民のお寺に対するイメージは葬儀をする施設になっていて、生活空間に近いところに宗教施設が建つことへの違和感からのようだ。
 その後まもなく開発申請の許可が下りて、現在建築確認申請を出す作業に入っている。
 小庵は檀家が一軒もないところからの出発になるので、お寺をどのようなコミュニティーの場にするのか建ててからが正念場になる

       藤木髏驕@合掌