選挙が変われば
政治は変わる
秋田県 満勝寺 佐々木正悦
平成12年、当時の大竹内局が「宗門の教団展開に関わる過去の点検と未来像策定の年」と位置付け、7つの検討項目を掲げられました。確か十年のタイムスパンでした。皆様もご存知のことと思います。その年の有道会東北大会において、私は「現行選挙法」も是非項目に加えて頂き検討点検をしてほしいと主張し、さもなくば、宗門の長い歴史に禍根を残すことになるだろうと警告しました。あれから6年、私の予言は残念ながら的中してしまいました。
宗政に関わる政策団体(有道会)に入会して十数年。爾来、現行選挙法の改正を叫んで参りました。現宗門の諸悪の根源は現行選挙法と断言致します。すでに同紙上にて多くの方々が現行選挙法の改正を望み、現行選挙法の矛盾や不備や疑問点を明解に詳細に指摘して下さっておりますので、私は敢えて重複致しませんが、現行選挙法の間違いが間違った議員を選び、間違った議会を構成し、間違った宗門の姿を作り出したのであります。たまたま多々良学園の不祥事が衆目に晒されることになって、この問題の根底に潜む宗門の悪しき体制が初めて暴露されただけであり、多々良学園問題以前からそうであったし、そしてこれからも、この選挙法が変わらぬ限り宗門の迷走は永続して行くでしょう。
私に与えられたテーマは「宗門はこう生まれ変わってほしい」というテーマですが、将来の宗門像を創造する以前に、先ずこの憂うる宗門の現状を如何に打破するかであります。それにはやはり現行選挙法の改正以外にないと私は思います。「選挙が変われば政治は変わる」と言う言葉があります。現行選挙法を変えれば宗門は変わります。永平寺系でもない總持寺系でもない、与党と野党が同数でもない、勿論与党、野党の連立内局でもない、有道会でもない總和会でもない、揆を一にする宗政団体がそれぞれ政策を論じ覇を競い、責任を取る、取らせる政治、当然の政治、当たり前の宗政をしてほしいだけです。今の宗門の議会はその当たり前の議会をしていますか。責任は誰が取りますか。誰がとらせますか。
公職選挙法に準ずるといいながらも、一宗和平という大義名分のもとに系別、連記、同数という特異な選挙法を作り上げてしまいました。しかし、系別、連記、同数の三原則こそがおよそ民主主義とは似ても似つかぬ悪法の根源なのであります。
先にも述べましたが私は今まで様々な処で現行選挙法の改正を訴えて参りました。しかし、いつも答弁は「現行選挙法は最良の選挙法である」と退けられてまいりました。それはそうでしょう。この選挙法によって選ばれた議員には、これだけ安楽な選挙法はないのですから。この選挙法は現役議員に大変有利に出来ている選挙法だからです。しかし、今度はそうはいかないでしょう。全国の多くの宗門人がこの度の多々良学園問題を契機として、現行選挙法が如何に悪法であるか知ってしまったからです。
では宗議会で取り上げようとしないこの現行選挙法の改正をどう迫ってゆくか、これは私案ですが、たとえば宗議会に物的証拠を突き付けることでしょう。つまり全国有権者への署名運動であります。現行選挙法改正の署名を集め宗議会に提出したら如何でしょうか。くどいようですが現行選挙法の改正無くして,明日の宗門構造改革はありえません。みんなで知恵を出し合って当たり前という正しい新しい選挙法を作りましょう。そこから21世紀の曹洞宗が生まれ変わるものと私は思っております。
最後に二宮尊徳翁の言葉を引用して擱筆します。翁の言葉を咀嚼して頂ければ幸いです。
「政事は豆腐の箱のごとし、箱がゆがめば豆腐ゆがむなり」(仁宮翁夜話)