朗読から心の力を養う
「子は親の鏡」
ドロシー・ロー・ノルト
けなされて育つと、子どもは、人をけなすようになる
とげとげした家庭で育つと、子どもは、乱暴になる
不安な気持ちで育てると、子どもも不安になる
「かわいそうな子だ」と言って育てると、子どもは、みじめな気持ちになる
子どもを馬鹿にすると、引っ込みじあんな子になる
親が他人を羨んでばかりいると、子どもも人を羨むようになる
叱りつけてばかりいると、子どもは「自分は悪い子なんだ」と思ってしまう
励ましてあげれば、子どもは、自信を持つようになる
広い心で接すれば、キレる子にはならない
誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ
愛してあげれば、子どもは、人を愛することを学ぶ
認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる
見つめてあげれば、子どもは、頑張り屋になる
分かちあうことを教えれば、子どもは、思いやりを学ぶ
親が正直であれば、子どもは、正直であることの大切さを知る
子どもに公平であれば、子どもは、正義感のある子に育つ
やさしく、思いやりをもって育てれば、子どもは、やさしい子に育つ
守ってあげれば、子どもは、強い子に育つ
和気あいあいとした家庭で育てば、
子どもは、この世の中はいいところだと思えるようになる
Children Learn What
They Live (石井千春 訳)
* 出典『子どもが育つ魔法の言葉
for Mother and Father』ドロシー・ロー・ノルト著
石井千春訳、2003年PHP研究書刊
解説 江田 浩司
子供を育てることの難しさは、どの子供にも通用する共通の手引きがないことです。しかし世の中には、有名小学校、有名中学校に進学させた家庭の子育ての本、有名人を育てた家庭の本が氾濫しています。もちろんそのような本から、すぐれた子供を育てるためのヒントを学ぶことができるかもしれません。しかし、子供の資質は千差万別であり、だからこそ子供の存在は尊いのです。それゆえに同じ方法で同じような成功を収めることは誰にも保証することができません。親の愛は無償であるとよく言われます。それは子育てが功利主義的な側面とはまったく相容れないものであることを指しています。もちろん親であれば、子供の将来の幸福を願うのは自然なことでしょう。しかし子供の将来の幸福を願うという誰もが否定できない行為が、実は親にとってのエゴイズムにすり替わってしまう場合も少なくありません。その点については、二人の子供の親である私自身も深く内省しなければなりません。
幼児虐待の痛ましい報道をよく目にします。なぜあのような悲惨な事件が繰り返されるのか、その原因は一様ではないでしょう。幼児虐待を繰り返す親の人間性を非難することでは、何も解決しない難しい問題をはらんでいると思います。虐待を繰り返す親はどのような幼児体験を経たのでしようか。また親が育った社会環境にも問題はなかったのでしようか。私たちの社会の病理は、往々にして犯罪という形で特化するものです。
どのような社会的な地位にあり、どのような暮らしをしていようとも、自分が子供や孫を持つ年齢になって、親から受けた愛情を語れることほど幸福なことはありません。ドロシー・ロー・ノルトの言葉は、子供を通して親が自分自身の姿を映し見ること。そして子供への愛情は無償であると同時に、自分自身に向けての愛情でもあることを、やさしい言葉で語りかけてくれるのです。
「子どもが育つ魔法の言葉 for Mother and Father」
ドロシー・ロー・ノルト著
石井千春訳
定価:本体552円(税別)
江田浩司
1959年岡山生まれ。現代詩歌作家。
詩、短歌、俳句の枠を超えて、詩歌の総合的な表現を試行する。
歌集『メランコリック・エンブリオ』詩歌集『饒舌な死体』現代短歌物語『新しい天使』など。