もうガンは怖くない!

免疫力アップの秘訣は
自分の体の声を聴く!


今回の曹洞禅グラフ対談は「ガンや膠原病は、決して不治の病ではない」ことを医学的に証明された、免疫学の大家・新潟大学大学院医歯学総合研究科教授の安保徹教授です!
免疫力アップについての方法、食事、気持ちの在り方。ガンや膠原病を治す方法など。すべてが今日からスタートできる話ばかりでした。ストレスは万病のもと。素敵な笑顔で生き生きされている安保先生の生き方は、免疫力アップのお手本でした。
ひとりでも多くの人々がエイジレスライフを満喫されますように。


安保 徹(あぼ とおる)
一九四七年、青森県に生まれる。
一九七二年、東北大学医学部を卒業。アメリカ・アラバマ州立大学留学中の一九八〇年、「ヒトNK細胞抗原CD57に対するモノクローナル抗体」を作製。
一九八九年、胸腺外分化T細胞を発見。一九九六年、白血球の自律神経支配のメカニズムを初めて解明。
新潟大学大学院医歯学総合研究科教授(国際感染医学・免疫学・医動物学分野)。世界的免疫学者。
著書に『免疫革命』(講談社インターナショナル)、『医療が病いをつくる』(岩波書店)、『こうすれば病気は治る』(新潮選書)、『免疫進化論』(河出書房新社)、『自分ですぐできる免疫革命』(だいわ文庫)などがある。


免疫学を志したきっかけ

【まさとみ☆】安保先生が免疫学の研究を始められたきっかけは何ですか?

【安保】私は24歳の時から2年間、内科研修をやっていて、ガンも治せない、リウマチも治せない、そんな医療の現状に失望したのです。治らない治療を続けることが苦痛になり、自分で研究して治そうと思いました。

【まさとみ☆】それがきっかけで免疫の研究を始められたのですね。

【安保】はい。初めは免疫の研究、さらにその後は自律神経の働きとか体温とか、2008年からはエネルギー系とかの重要性に気付き研究を進めてきました。体の仕組みがだんだんと分かりだして、ガンの謎にも辿り着けたわけです。回り道して40年が経ちました。

人間の体の祖先

【安保】私達の体は一つの生き物のように見えますが、実際は2つの生き物から出来ています。20億年前に無酸素で分裂しながら生きていたのが私たちの祖先細胞です。バクテリアみたいにひたすら分裂して、酸素もいらない不老不死の世界でした。ところが、酸素を出す植物の先祖、光合成細菌が生まれ、どんどん地球の大気中に酸素を放出しだしたので、我々の先祖は酸素の害で生きづらくなりました。そこに、危険なはずの酸素を逆に使い、効率良くエネルギーを作るミトコンドリア生命体が進化過程で生まれ、我々の祖先に合体したんですね。

【まさとみ☆】無酸素で生きた先祖と有酸素で生きた先祖の合体ですか?

【安保】そう。私達は2つの生き物の名残りを残し、急いで活動する時は無酸素下で糖からエネルギーを作り、ゆっくり活動する時は有酸素下で糖や脂肪からエネルギーをつくるという、独自の二つのエネルギーの作り方と使い分けができるのです。
 有酸素の世界で分裂の起こらない細胞の代表が心臓や脳の細胞。無酸素の世界で分裂するのは皮膚や骨髄の細胞。そして、男性の精子、これぞ最高の分裂能です。無酸素の世界は、体温より5度くらい低くないと働かない。だから、男性の精巣は股間に5度低くなるような場所に収まっています。ですから、年頃の男性は股間部分が蒸れたら駄目です。

【まさとみ☆】今、男性の精子の数が極端に減っている話を耳にしますが、蒸れも一因になっているのですね。

【安保】お年寄りになると今度は、エネルギー効率の良いミトコンドリア系が優位になり、瞬発力を司る解糖系は縮小してきます。だから、老人は慌てたり怒ったりしなくなる。

【まさとみ☆】細胞のエネルギーの偏りで決まっていることだったんだ!

【安保】ミトコンドリア系は持続力を司るから、きびきびした動作はできないけれど、じっくりとした動作はいつまでも出来ます。お年寄りになると全てが衰えていると思っているけれど、そうじゃない。瞬発力は衰えるが、持続力は残っています。また、エネルギー効率がどんどん良くなるから、たくさん食べなくても済みます。江戸時代の人が、お年寄りの養生は腹八分目と言ったのは、エネルギーの使い道が変わることを勘で知っていて、養生訓にしたわけです。お年寄りももっと進んだら、ミトコンドリア系オンリーになるから、効率の良さが極限になって仙人になるんです。

【まさとみ☆】それはおいくつ位ですか?

【安保】九十歳か百歳くらいでしょうね。だけど、普通の人は仙人にたどりつかないうちに死んでしまう。ガツガツ食べて養生が悪いから。

【まさとみ☆】原因は食べ過ぎですか?

【安保】そうですね。私が八年前、急に食に興味がなくなり一年ちょっとで13s減量できたのは、体の声を聞いたからです。その時はこの理論を知らなかったのですが。
 2008年1月10日の夜中、トイレに起きて布団に入り、自分の手を触ったら、皮膚が薄くなっていたことに気がつきました。その頃、湯タンポを使っていました。つまり、分裂の世界は温めたら抑制されることに気付いたのです。寒さに晒されたり乾布摩擦をすると皮膚が丈夫になるでしょう。我々は温めて良い場所と、冷やす場所があることが分かったのです。

【まさとみ☆】ただ温めれば良いって訳じゃないのですね。

【安保】体をいっぱい温めなさいと書かれた本がたくさん出てるでしょう。私もそう主張していたけれど、今は方針を変えました。要所要所冷やさなければ駄目ってことに気がついたから。

【まさとみ☆】具体的にはどの部分を冷やせば良いのですか?

【安保】分裂する細胞のある所です。男性は股間を冷やせということ。女性は逆にミトコンドリアが多い卵子を持つので冷えが危険です。温めてミトコンドリアを増やして排卵するのです。冷えが出てくると、排卵が起こらなくて不妊症になります。だから、男性は股間を冷やし、女性は卵巣を温める必要があります。男性と女性の生き方は違うのだけれど、それが寿命にまでつながっていることにも気がつきました。
 女性が長生きするには温めること。戦前も戦後も、女性の長寿ナンバーワンは沖縄県です。男性の場合、戦前も戦後も長寿ナンバーワンは長野県です。長野県は高い山で空気が薄くて寒さがある。精子を育てる条件と男性の寿命を延ばす条件のすべてが一緒なのです。

【まさとみ☆】すごい発見ですね!

【安保】私達は年を取って死んでしまうでしょう。死んだら子孫を残せない。どうやって子孫を残したかというと、男性にはミトコンドリアがほとんどない分裂の精子、女性にはミトコンドリアが極端に多い卵子を作って、20億年前の生命の合体をやり直す形で命をつないでいる。それが生殖です。そのことに気がついたのです。

【まさとみ☆】20億年前のことが現代で行われているとは生命の神秘ですね!

ガンは我々の先祖だった!?

【安保】病院へ行くとすぐに点滴したり、胃ろうを作って栄養のある物を入れるでしょう。あれこそが七転八倒の苦しみにつながります。治療に必要なのは、温かくしてエネルギーを作って病気を治すこと。点滴治療などは、瞬発力で危機を乗り越える一時的な世界です。栄養を入れて、一時的な冷えの世界を作っているのです。
 そういった治療をされた人は、亡くなる時にありがとうって言えない。逆に、仙人になってこの世を去る人は、もう死期を悟ったから物を口にせず、にっこり笑ってこの世を去っていくのです。

【まさとみ☆】病気が怖いとか死ぬのが怖いというのも冷えの世界ですね。

【安保】そして最後に気がついたのが、ガンの成り立ち方。成長期の子供は分裂と瞬発力の世界の解糖系です。20代、30代になると成長が止まって解糖系とミトコンドリア系の調和の時代に入ります。にも関わらず、相変わらずガツガツ食べ続けて猛烈に働き、疲れが残ったまま顔色が悪くなるまで頑張り続ける生き方をし、飲みに出掛けて部下を叱咤激励し、帰りにはラーメンを食べて帰る。そんな生き方は、猛烈に解糖系を使う世界です。
 極限まで行くと、顔色が悪くなって、低体温、低酸素になります。無理をして、アドレナリンが出て血糖値が上がるから、解糖系でしか生きていけない内部環境だと体が認識するわけです。そこで、20億年前の低体温、低酸素で分裂する世界にもう一度戻って、過酷な内部環境で生き延びようとしたのがガン細胞なのです。ガンは20億年前の我々の先祖だったのです。

【まさとみ☆】ガンが我々の先祖ですか?

【安保】そう。ガンは遺伝子の失敗で起こるのではなく、遺伝子の成功を数回繰り返して、20億年前の先祖に辿り着いた病気です。

【まさとみ☆】20億年前の膨大な歴史をリスタートしたということですね!

【安保】ホモサピエンスの歴史は10万年くらいだけれど、その間に体は全然進化していないのに、文明の力でどんどん環境が変わっていきました。忙しすぎて、穏やかな性格の人はついていけない世の中になったのです。体を壊すとか、うつ病、統合失調症で破たんするわけです。それは体が悪いのではなく、世の中が慌ただしく変化し過ぎているから。それこそ坐禅でもして、少しわが身を振り返るような生き方に戻るのが良いですね。

【まさとみ☆】何か自分で調整できる方法はありますか?

【安保】まず、一番分かりやすいのは病気になってみること(笑)。やっぱり人間は痛い目に遭わないと、なかなか己の生き方を変えようとまで思わないですから。

【まさとみ☆】極論ですね(笑)。

【安保】そうやって人類は色々な病気にかかり、免疫系を進化させて対応してきたのですから。だけど、からだをあまりに清潔にし過ぎて無菌状態に置いたら、いざとなった時に病気にかかって死んでしまうでしょう。

【まさとみ☆】日常生活の中で、免疫力をアップする方法は何かありますか?

【安保】無理せず楽せず。無理すると体を壊すでしょう。楽すると能力低下で、生きる力が奪われます。だから、無理しては駄目だし、楽をしても駄目なのです。
【まさとみ☆】その頃合いが難しいですね。

免疫力アップと長生きのための食事

【まさとみ☆】人生は120年って言われていますが、免疫力が本当にしっかりしていれば120歳まで生きられるものなのですか?

【安保】それを私は今確かめているのです。だから、あと60年待って(笑)。

【まさとみ☆】安保先生はどんな食事を召し上がっているのですか?

【安保】私は玄米と野菜、海藻、きのこ。魚も食べます。

【まさとみ☆】お肉は召し上がらないのですか?

【安保】肉と牛乳は週に1回です。肉も牛乳も体に良いっていう人も悪いっていう人もいるから、真ん中をとって週1回(笑)。

【まさとみ☆】主食の玄米は基本ですか?

【安保】いつも玄米を食べていると飽きてくるので、家庭用精米機で五分づきや白米などを時々織りまぜながら食べています。

【まさとみ☆】玄米は食物繊維が豊富ですし、ギャバは脳をリラックスさせる効果があると言われていますものね。

【安保】やっぱり、たまには体に悪いことも必要だと思いますね。だから、みんながペットボトルの水が良いって言ったら、私は水道水にする。去年ウィーンへ行った時も、ずっとトイレの水道の蛇口の水を飲んで過ごしましたよ。

【まさとみ☆】お腹は壊さずに?

【安保】ものすごくお腹に良かったよ(笑)。

【まさとみ☆】安保先生の体の中には世界中のありとあらゆる菌達が共存している感じですね! なかなか真似をするには勇気がいりますね。

【安保】失敗したら御愁傷様です(笑)。

ガン・膠原病は怖くない

【まさとみ☆】安保先生がガンは治るという本を出され、すごく勇気付けられた人は数多くいらっしゃると思います。

【安保】ガンというのは低体温、低酸素です。だから、逆のことをすれば良い。体をポカポカにして深呼吸をして酸素を送り込めば、ミトコンドリアは復活し、解糖系のガンは生きづらくなる。

【まさとみ☆】非常にシンプルなのですね。

【安保】昔からあらゆる健康法で深呼吸が良いと言われていました。だけど、メカニズムまでは分からないから、体験の世界で人類が次の世代に残していったわけです。我々は複雑な社会を作ると、ついていけない人が出てきます。だから今、うつ病患者が多いでしょう。そんな時、深呼吸で我に立ち返って静寂の中に身を置く行為をする必要があるのです。

【まさとみ☆】坐禅を組むのも良いですね。ガンになってしまった時は、温めて深呼吸をすれば良いのですか?

【安保】それから食事ですね。やっぱり無理をしている人は便秘がちの人が多いです。便が腐敗していて非常に臭い。

【まさとみ☆】腸の中に本来いるべき良い菌達が元気で働けなくなっているのですね。

【安保】悩みや不安で消化管活動が抑制されて停滞し、肉などの腐敗物質が入ってきて、便がアルカリ性になっているからですね。そして、ガンになる解糖系はたくさん食べる世界だから、小食にしなければ駄目です。すべて自分の体が教えてくれているのです。だけれど、無理する人、悩む人、不安な人は体の声を聞き逃すような生き方をしているのです。

【まさとみ☆】目先のことにとらわれて、自分の体が見えてないのですね。

【安保】講演会をすると、どれくらい水を飲めば良いのか、どれくらい塩を取れば良いのかと聞かれます。私はいつも「自分の体の声を聞いて適量を決めなさい」って答えています。

【まさとみ☆】最近、膠原病になる人が多いと聞きますが、何が原因なのでしょうか?

【安保】ストレスです。ストレスを受けると、交感神経が緊張して、解糖系が一気に働いたり、顆粒球が増えすぎて常在菌と反応して炎症を起こしたり、組織が壊れたりします。怪我でも組織が壊れるけれど、ストレスでも組織は壊れるんですよ。

【まさとみ☆】そのストレスレベルはどれ位ですか?

【安保】膠原病になっている人は、よくそこまで無理したねって感じの、尋常じゃない負担がかかっていますね。体の細胞などが低体温とか低酸素で崩れた時、普段外に出ないような構成成分も出るので、自己抗体ができるのです。だから、膠原病は難病ではないんですよ。ストレス病なんです。ですから治すこともできるのです。ストレスを除いて、体を温めれば良い。病院へ行ってステロイドや免疫抑制剤などを使うと体がますます冷えてしまうので治らないのです。
 ガンで痛いのも、修復するための血流回復反応です。それで、お風呂にもっと入って温めたり、ドライヤーで熱風を掛けたりした方が痛みは軽減するわけです。だけど、モルヒネや消炎鎮痛剤は体を冷やす形で血流を止めて痛みを取ろうとする薬剤です。モルヒネは一番体を冷やしますね。麻薬常習者って顔色がすごく悪いんです。血流を止めてしまうから一時的には楽なのですが。

【まさとみ☆】麻薬というのは体の色々な痛みなどを軽減してくれるのですか?

【安保】そう。交感神経緊張を作るからです。だからすごい便秘になります。私達は興奮すると神経伝達ブロックが起こります。ですから、興奮した時に痛みが取れるわけです。その極限がモルヒネです。

【まさとみ☆】ガンになってしまった方で手術にするか抗がん治療にするか迷っている方はどうしたら良いですか?

【安保】病気は自分の過酷な生き方が作っているから、生き方を変えなさいって言います。むしろ体に良いことの積み重ねで病気から脱却して、その場しのぎの現代医療は止める勇気を持って欲しいですね。

【まさとみ☆】手術や抗がん剤治療という選択ではなく、体を温めて、自分にとってのストレスが何かを知って、それを取り除くということですね。

【安保】勘の良い人や感性の高い人は私の話を聞かなくても、ガンを自分で治しています。野生動物のように本当に感性が高くなると、病気を自分の力で克服する能力がある。だから、食を自分で断ったりして体を癒すわけです。人間は学習能力ばかり高くなり、感性はだんだん衰えてきたから、手術や抗がん剤治療を勧められれば、それに従ってしまう。
 勉強の頭だけで生きていた人や他人に従順で自己主張してこなかった人は全部引きずられる感じですね。でも、私は引きずられるのも良しとしています。今は失敗する時代だからです。戦中、戦後の医療の恩恵を受けられなかった時代。そして、医療にかかりすぎる今の時代。そういう時代の変遷を経て、五十年後百年後には冷静な日本人が生まれるって感じを持っています。

【まさとみ☆】他人に惑わされることなく、自分の体の声にしっかりと耳を傾けることが本当に重要であると痛感致しました。本日はどうもありがとうございました。