仏教の疑問に答える
六地蔵について

駒沢大学名誉教授 佐々木宏幹


 「地蔵」の「地」は「大地」を意味し、「蔵」は「子宮・胎」を意味します。つまり「地蔵」は大地のはたらきを擬人化した存在であり、「お地蔵さま」がこの世の人びとの苦を救うと共に冥界の人びとの苦を救うとされるのは、大いなる大地のはたらきを特質としているからであると言えましょう。
 お地蔵さまは六道能化救済者とも呼ばれます。六道とは地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天、すなわちわれわれ生きとし生けるものが、善悪の業によっておもむき住む六つの迷いの世界です。この六道のどこでも、必ずお地蔵さまは救って下さいます。
 六地蔵は、六道に配された六種類のお地蔵さま、つまり地獄より順に檀陀、宝珠、宝印、持地、除蓋障、日光と名付けられ、それぞれ持ち物が異なります。
 六体のお地蔵様は、お寺や墓地の入口や辻などに立てられることが多く、江戸時代には主な街道の出口に立てられ庶民の篤い信仰の対象でした。「六地蔵めぐり」は今日も広く行われています。


●長崎県島原市・森 大様の質問にお答えしました。
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