毎日書道
作品も募集しています

お手本と解説 神奈川県立金沢文庫長 高橋 秀榮

 94号から「毎日書道」が始まりました。
 お手本と解説は、神奈川県立金沢文庫長・高橋秀榮先生にお願い致しました。
 お手本を参考にして(名前は作品の左側に)、作品を半紙などに書いてご応募下さい(無料)。年間のご応募の中から優秀な作品を選び、誌上で発表し、記念品を贈呈します。作品をどしどしお寄せ下さい。

○送り先 〒155―0031 世田谷区北沢4−17−2 仏教企画まで。
○お問い合わせ 電話03−3481−4911


  最近は筆を持つ機会が極端に少なくなってきましたが、筆ペン一本あれば、いつでも、どこでも、筆文字を書くことができます。鉛筆やボールペンの代わりに筆ペンを使いこなしてみてはいかがでしょう。
 家を留守にするメモ、お買い物の品名、電話の用件などを、筆ペンで書いてみる。そうしていると、いつしか筆ペンが手になじんで、筆文字を書く楽しみが増してきます。はじめは億劫だと思っていたことが、いつしか無意識に筆を握っていた、などということもあります。
 書に親しむ秘訣はただ一つ。気に入った文字を一文字でも二文字でも、くり返し書いてみることです。無理をせずに、毎日、くり返し書いてみる。くり返しに勝る上手はない。練習に練習を重ねることこそが上達の秘訣なのです。毎日書いてみよう、という気持ちを持続させることが大事です。新企画「毎日書道」のねらいはそこにあります。


高橋秀榮
昭和17(1942)年、北海道生まれ。
駒澤大学仏教学部卒業。同大学院博士課程修了。
現在、神奈川県立金沢文庫長。駒澤大学・法政大学大学院非常勤講師。


【和敬清寂】
 この四字は、茶道の奥深い精神を表現した言葉として有名ですが、書道を学ぶ上でも一つの指針となるでしょう。
 和は調和の心、敬は敬愛の心、清は清新な心、寂は寂静の意味です。無垢清浄な心根とみなすこともできます。私たちは、雑務に追われて、身を正し、心を清めることを忘れがちですが、時には筆に墨をなじませて、この四文字を書いてみたいものです。
 書くときは、「和」「敬」「清」「寂」と一字ずつ書いてもいいですし、「和敬」「清寂」と二字つづけて書いてもかまいません。ゆっくり丁寧に書いてみましょう。禅の真髄を示す言葉でもあるだけに、くり返し書いているうちに、自然と気持ちが落ちつき、心が澄んでくることでしょう。無心の境に遊ぶことができたら幸いです。


【ほとけさま】
 「ほとけさま」(おしゃかさま)とは、苦しい修行にたえて、悟りをひらき、人びとに尊い教えを説かれた聖人のことです。
 私たちはお寺にお参りしたとき、仏さまに手を合わせますが、「ほとけさま」はじつに尊く、かけがえのない存在です。智慧にすぐれ、慈悲深く、いまなお多くの人々に仰がれ尊ばれています。
 そこで今回は、「ほとけさま」という手本を書いてみました。感謝の気持をこめて、お正月に書初めされたらいかがでしょう。いろいろな願いが叶い、すがすがしい気分でお正月を過ごすことができるかもしれません。