他宗教知ってるつもり 6
「仏から軍神までいる神道」
神道は日本の風土に根づいた自然発生的な民族宗教です。教義を持たなかったため、風俗と一体化して広く信仰されました。また、仏教とも融合して明治の神仏分離令がでるまで約一千年も共存してきました。その後は国家神道として保護されましたが、戦後の民主化にともなって、一般の寺と同じ宗教法人になりました。現在では、地縁や氏子(うじこ)にささえられた約八万の神社を有して神道の九割を占める神社神道と、戦前に国が公認していた金光教等の教派神道、また天理教のように一宗をたてた新教派神道などに大別されます。
神道は日本の習俗そのものですから、ありとあらゆる願いを叶える祭神で国中が満たされています。この八百万(やおよろず)の神は天神と国神に大別され、高天原の天神である天照大神が、日向高千穂峰にニニギノ命を降したことに端を発します。以来皇室の祖神で日本建国の基とされ、その直系である天皇は現人神(あらひとがみ)でした。戦後天皇制は廃止され、国民統合の象徴となりましたが、皇室は世界一長く系譜がはっきりしている家系としてギネスブックに載っています。
国神は各地で祀られている神々で、身近には産土神(うぶすながみ)や氏神、鎮守(ちんじゅ)として親しまれています。また生前の権力者や怨念を持つ者(徳川家康や菅原道真)、国につくした者(乃木将軍などの軍神)の他、仏様さえ蕃神として祀る程寛容です。これらの神を潔められた地に降臨させ、供物や舞いを捧げてその力をいただくという神人交流が信仰の中心です。その取りもち役が神官や神職で古くは奉仕者と呼ばれていました。家庭では神棚を設け、受けたお札を安置し、「神の恵みに感謝」します。日常のお供えは水(酒)・洗米・塩が基本です。