お寺知ってるつもり 7
東司(とうす)は便所のこと
曹洞宗の建物は基本的には禅宗七堂伽藍で、南に向いています。永平寺では雲水さんが人体になぞらえて説明してくれます。頭にあたるのが法堂で本来は住職が説法をする場所です。一般の寺では仏殿をかねて本堂とよび、あらゆる儀式を行います。この右側に庫院(台所、客間で居室を含めて庫裏ともいう)と浴司(風呂)があり、左(東側)に僧堂(修行僧の寝起き、坐禅の場)と東司(便所)です。便所や浴室や台所が重要な建物になっているのが曹洞宗の特徴です。
本堂中央の須弥壇は仏法世界の中心にそびえる須弥山をかたどったものです。もともとは住職がここに登って説教をしました。今では日常は仏壇として使われ、結制や授戒の時だけ登壇します。中の段には金の蓮華や燭台、献茶湯器、霊膳や高坏、前机に生花器、香炉がおかれます。移動可能な香台には三方に香炉を載せます。また、仏像の上には仏天蓋、導師の立つ場所の上にも人天蓋という金色の傘がつるされています。その下には拝敷がしかれ、導師用に座辱という座布団が置かれています。お経本を載せる台は経机や見台です。
鳴らし物ですが、大鐘(ケイス)は左、木魚は右で、儀式の時は半鐘や殿鐘がつかれたり太鼓が鳴らされます。それに呼応して、導師を引磬(インキン)という手持ち鉦で導きます。小鐘(ショウケイ)はお経の区切りや、立ち坐りの合図に鳴らされます。境内鐘楼の大梵鐘は除夜の鐘で有名ですが、儀式の開始や時を告げるのに使います。このようにかつては時計を使わず、すべて鳴らし物の合図で生活し、儀式を進めていました。