遠くなった菩提寺とのおつき合い 大きい文字で見る
松本英男 栃木県 七十四歳
わが家の菩提寺(曹洞宗)は東京都内、そこの院内墓地には両親と兄の3人が眠っている。檀家としてお寺との「おつき合い」が始まったのは昭和40年代末、今年(平成11年)で亡父の27回忌を迎える。ところが昨年私たち夫婦は住み馴れた東京から、長男夫婦と孫のいる栃木へ、永住を決めて転居した。都内を離れ、遠くなった菩提寺との「おつき合い」を、これから先どうすればいいか、私なりにまとめた結論を具体的に述べてみたい。
(一)「お墓参り」申し訳ないけれど年2回。年ごとの加齢と列車での上京を考えると、これ以上は無理と思うから。(今まで8回以上)
(二)「諸経費」従来どおりなら護持会費・墓地管理費は年間合計1万円。盆供料(お盆)と冥加金(お正月・お彼岸)は一律2千円、年間四回で8千円。 塔婆料は一本3千円(随時)木札(祈とう代含む)2千円。
これで年間支出の固定経費は、総計2万円ちょっとということだ。
(三)「棚経」(お盆)は地元の曹洞寺院にお願いして、土地の慣例による「お経料」を包む。 さてこれからが本論だが、運よく私が自宅のタタミの上で死を迎えられたと仮定して、そのとき「どうされたいか」を率直に書いてみよう。
(一)通夜から火葬まで―告別式は無用。
自治会(戸数60)員でもあり、わが家に隣接して公民館が建っているから、通夜は公民館をお借りしたい。あとは葬儀社との相談だが、読経のお坊さんは一人、祭壇はできるだけ簡素なものでいい。通夜に見える方は自治会関係者と限られた地元の知人・友人となるだろうから、予想の人数に見合う「通夜ぶるまい」を用意する。通夜の席には、わが家の親族のほか県外にいる妹だけの立会いでいい。
火葬場にはワゴン車とマイクロ・バスを利用、お坊さん・葬儀社員各1名と関係者が分乗する。火葬の待ち時間は茶菓だけ。遺骨(骨つぼは長男夫婦による合作のもの)は、座卓に白布をかけ、自宅奥の部屋に安置。
この項の経費は総額50万円以内とし、内訳はお布施10万、葬儀社30万、仕出し5万を目安とする。但し戒名は受戒(平成元年在家得度)によって授けられた四文字に「居士」をつければよい。
(二)別れの会は、忌明け(四十九日)に近い土・日曜日―友引の日以外―とし、東京の菩提寺の本堂と控えの間をお借りする。通知先は特に親しかった東京在住の友人・知人(健常者に限る)と近親者合わせて30人程度でよい。
納骨と墓誌への刻字は、お寺指定の石材商に依頼する。法要のあとの「直会」は別会場を用意し、20人前後の内輪の席にして欲しい。この会の経費も総額50万円以内、内訳はお布施20万、直会(精進落し)費15万石材商代5万、通夜の香典返しその他5万を目安とする。 (数字は平成11年現在)